アンドロギュノス!

先日、お見合いのお付き添いで本当に久しぶりに上野まで行きました。その帰りに、上野公園口から、地下鉄の駅に向かってなだらかな坂道を降りていたときに、道の脇のガレージのようなスペースに、臨時の(?)古書店が開かれていました。学生さんのような店番の男性が二人いるだけの、ただ本が並べてあるだけのお店でした。

何となしに本の背表紙を眺めていて、『「分ける」ことと「わかる」こと』(坂本 賢三著 講談社現代新書)という本が目に留まり、何となく購入してしまいました。

その中に、「アンドロギュノス」のことが書かれていました。それは、そもそも人間本来の姿は現在見られるものと違って、男女両性を合わせ持つ「アンドロギュノス」という存在であった。形としては、全体として丸く、手足はそれぞれ4本、顔は二つ、頭は一つで丸い首の上に乗っていたそうです。

ところが、このアンドロギュノスは心がおごり、次第に神々にはむかうようになったので、ゼウスは一人一人を切り離して弱体化させることを思いついた。

こうして人間は、もとの姿を二つに断ち切られたので、かつての半身を求めて、一つになろうとする強い感情こそが恋なのだと書かれています。要するに、本来の完全なものへの欲望と追求が恋なのであると。

また、そのことと直接の関連はないのですが、本の中で、古代ギリシャの哲学者のエンペドクレスは、部分を寄せ集めるのが「愛」であり、複数のものを一つのものにするのは、「愛」なのだと言っています。

・・・古代ギリシャ時代というと、実に今から2千年以上も前のことです。また、この本自体も昭和57年4月に発行されています。

にも関らず、そこに書かれていること、「人間は互いに相手の中に何かを求めているのではなく、相手と完全に一体になることを求めているのである」という文章が、何かの啓示のように、胸に届いたのでした。

そう、会員の皆さんも、本当は、「お相手に足りないものを求めているのではなく」真実はそうではなく、「お相手と一体になることを」本当は求めておられるのではないだろうか?という気がしたのです。そして、その一体となることを阻んでいるものがあるとしたら、それはいったい何なのか?ということも、深く考えないではいられなかった6月のある日のことでした。

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